栞いろは歌  禅のことをもっと…

和光同塵(わこうどうじん)


「和光」とは自分の持っている高い道徳的品性と秀れた才智の輝きを和げる、即ち、表に出さない事を云います。「同」は同化の意で人を感化して自分と同じくさせる意。「塵」はちりやごみの事で汚れた現実の娑婆世界を指します。即ち聖人君子がその知徳を和げて、つまり隠して俗塵の世界に入って衆生済度する事を云うのです。真実、禅の悟りに至った道人は、学んだ法も、修した道も少しも表に出さず、…(中略)…馬鹿なのか、利巧なのか、偉いのか、仏なのか、凡夫なのかさっぱり見当がつかない境涯で…(中略)…人知れず衆生を教化済度してゆきます。その消息を「和光同塵」と云うわけです。

《原典・道徳経/引用・細川景一著『枯木再び花を生ず』(禅文化研究所)より》

写真 雲水の托鉢