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「年末 こころ掃除」

岐阜県・光徳寺住職 渡邊俊明


 残葉の一枚、風に吹かれひらひら舞い、今年も一年締めくくりの時期となりました。
 さて、今年はどんな年でしたか?良きこと悪しきこと、365日の中にはいろいろあったことでしょう。
 私事で恐縮ですが、私にとって今年はとても有難い思い出の年でした。
 念願の寺の本堂庫裡が新築され、無事落慶法要を行なうことができました。
 築340年の旧本堂を取り壊す時には、言いようのない淋しさと、先人が残された建物が壊されゆくさまに、申し訳ない悲しみの涙でした。
 しかし、新築された本堂等の姿に、今度は喜びの涙があふれました。
 沢山の方々のご縁で成就でき、正に「おかげさま」と感謝の念で一杯でした。

 世相を観ますと慌ただしい現代社会、師走ともなれば更にみんな急ぎ足となります。こんな時こそ、見失いがちな自分を見つめ直してみましょう。
 「今、私は、自分の人生を正しく確かに歩んでいるだろうか……」と。
 先人曰く、「正しいという字は、一度止まると書く」と。
 こころ、せかせかしていませんか? さあ、一度立ち止まって、己がこころを見つめ直してみましょう。
 
 ところで、元来、人は様々な欲望を持っています。しかも、自分にとって勝手な都合よく考える、身びいきなる欲を持ち、その結果思う様にならなかった時、自ら苦しみが生じてきます。

 あまりにも、我欲を貪(むさぼ)っていないだろうか?
 あまりにも、つまらぬことに怒(いか)っていないだろうか?
 あまりにも、みさかいなく愚痴っていないだろうか?

 今のこころ、どうでしょうか?
 貪(むさぼ)り・腹立ち・愚痴の汚れ……。 “おかげさまソープ”でクリーンにしてみましょう。
 ありのままに、素直に物事を見つめ、全てに「ありがとう」と言える時、人は無事なる平穏な心でありましょう。
 “今年の汚れは今年のうちに”というコマーシャルがありましたが、自分勝手な欲の汚れを落とし、こころ掃除をし、すっきりとして、来たる新しい年を、明るく爽やかに迎えたいですね……。

掲載月 2008/12


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