京都府 ・養源院副住職 平塚景山 |
暑い季節になってまいりました。日本には四季があるのですが、昨今は異常気象等により季節というものを感じづらくなっています。さて、古代中国の陰陽五行思想ではそれぞれの季節に、春は青(緑)、夏は朱(赤)、秋は白、冬は玄(黒)と色が振り分けられました。その中でも「青春」という言葉はよくご存知かと思います。主に十代から二十代の人生で若く活力にあふれた時代として使うことが多いようです。大人になりますと、あの時は良かったとか自分の青春時代は学生の時だったなどと思い出話に花を咲かせる際によくこの言葉を使います。そして、そのほとんどが過去の話ばかりで「今が青春真っ只中!」という人にはなかなか出会いません。年齢を重ねて老いを感じるごとに、若い時のような気力や情熱というものは薄れていくものです。しかし、本当の人生の青春とは年齢を問わず今、この瞬間の生き方なのではないでしょうか?
作山 宗久訳『青春とは、心の若さである。』 (角川文庫)
「七歳の童子でも、自分より勝れている者には教えを乞おう。百歳の老翁でも、自分に及ばない者には、教えてやろう」。 趙州禅師は、高齢(高僧)になっても純粋な求道心を忘れず、常に己事を究明するため修行を続けられた方でした。ウルマンも趙州禅師も年齢に関係なく、今を目いっぱい生きているという意味ではその時その時が青春時代だといえるのではないでしょうか。 |