"禅"ってなんだろう? 坐禅をする"禅宗"ってどういう宗旨? "臨済"ってなに? "黄檗"ってなに?
宗旨
仏心宗、達磨宗とも称される、いわゆる禅宗は中国で起こり、発展し、やがて日本に伝来された仏教の一宗派です。日本に伝わった禅宗には、 [りんざいしゅう] や [おうばくしゅう]、そして曹洞宗 [そうとうしゅう] があります。当ホームページを運営しているは、臨済宗と黄檗宗です。
臨済宗や黄檗宗は、お釈迦さまの正しい教え(正法)をうけつがれた達磨大師(初祖)、臨済禅師(臨済宗祖)や、隠元禅師(黄檗宗祖)、さらに禅を日本に伝来された歴代の祖師方、そして日本臨済禅中興の祖・白隠禅師 [はくいんぜんじ] から今日にいたるまで、「一器の水を一器へ」移すがごとく相続されてきた正法を依りどころとし、我々に本来そなわる尊厳で純粋な人間性(仏性[ぶっしょう])を、坐禅・公案・読経・作務などの修行を通して、自覚(見性)することを旨とする宗派です。
宗祖臨済禅師
「赤肉団上 [しゃくにくだんじょう] に一無位 [いちむい] の真人 [しんにん] あり。常に汝等諸人 [なんじらしょにん] の面門 [めんもん] より出入す。未だ証拠せざる者は、看 [み] よ看よ」
という言葉があります。臨済宗の宗旨は、我々に本来そなわる、この一無位の真人を自覚することです。この臨済禅師の言行録は『臨済録』として伝えられ、語録の王と言われます。
仏心宗
仏心宗と呼ばれるのは、禅宗が、文字や経典に依らずに、悟りの心(正法 [しょうぼう] )を、師匠から弟子へと直接伝えていくことを根本としているからです。その起源は、「世尊拈華微笑 [せそんねんげみしょう] 」という故事に始まります。
ある時、お釈迦さま(釈迦牟尼仏)が、霊鷲山 [りょうじゅせん] という山にお弟子たちをお集めになられました。
そこでお釈迦さまは、梵天(インドの神様)が献じられた金波羅華 [こんぱらげ] を手に取り、そのお弟子たちに示されました。しかし、そこにいる者たちは誰もその意味を理解することができませんでしたが、ただ、 [まかかしょうそんじゃ] のみが破顔微笑されました。そこで、お釈迦さまは「吾れに正法眼蔵 [しょうぼうげんぞう]、涅槃妙心 [ねはんみょうしん] 実相無相、微妙[みみょう]の法門あり、不立文字、教外別伝、摩訶迦葉に付嘱[ふしょく]す。」(我が仏心を摩訶迦葉に授けよう)」と言って、正法を伝授されました。
これが禅宗における師資相承 [ししそうじょう] (師匠から弟子への正法の直接伝達)の始まりと言われます。お釈迦さまのことを、臨済宗では、「大恩教主本師釈迦牟尼世尊」とお呼びして尊崇しています。
達磨宗
達磨宗とは、お釈迦さまから28代目の祖師である [ぼだいだるまだいし] の名前から来ています。達磨大師は、インドから中国に渡られ、嵩山少林寺 [すうざん しょうりんじ] というところで面壁 [めんぺき] 九年の坐禅を修行され、「 [ふりゅうもんじ]、 [きょうげべつでん]、 [じきしにんしん]、 [けんしょうじょうぶつ] 」を標榜され、禅宗の初祖と仰がれています。この「不立文字、教外別伝…」の意味も、文字や経典に依らずに、悟りの心(正法)を、師匠から弟子へと直接伝えていくということです。つまり、達磨大師の正法をさかのぼれば、お釈迦さまに行き着くことになり、達磨大師の正法は、お釈迦さまの正法と同じということです。