南禅寺では、平成28年3月に奉修される臨済禅師1150年大遠諱に因み、平成27年4月から、平成28年2月にかけて10回にわたり、管長・香南軒中村文峰老大師により、臨済録の提唱が南禅寺発祥の地・南禅院にて行われました。
詳細は下記のとおりです。
(1) 4月10日(金) 臨済禅師略伝
(2) 5月19日(火) 随処作主
(3) 6月14日(日) 破夏の因縁
(4) 7月 5日(日) 臨済栽松
(5) 9月13日(日) 米を揀ぶ
(6) 10月11日(日) 赤肉団上一無位の真人
(7) 11月23日(月) 家舎と途中
(8) 12月13日(日) 四料簡
(9) 1月24日(日) 大悲千手眼
(10) 2月14日(日) 光陰惜しむべし
最終日、平成28年2月14日には、明け方まで激しく降り続いた雨も、満了を祝うかのごとくぴたりとやみ、春のごとき暖かさ。
南禅僧堂・虎渓僧堂・広園僧堂・東福僧堂の各老師方をはじめ、南禅山内や有縁寺院、一般の方など約50名が出席されました。
午前10時より法要が営まれた後、提唱では、「光陰惜しむべし」にちなみ、ご自身の修行体験や祖師巡礼の中国旅での思い出などを交え、自身の外の世界では予期せぬ事もまま訪れるが、それに翻弄される事無く、僧俗問わず自己の内をみつめ、皆、なすべき事に打ち込むよう、力強く諭されました。
提唱後には南禅寺派宗務総長・蓮沼良直師より御挨拶があり、無事10回の提唱を終え、参加者への感謝のお言葉並びに、3月に執り行なわれる臨済禅師・白隠禅師の遠諱大法要にて管長猊下が導師をお勤めになられる事、4月から5月にかけての京都国立博物館においての展覧会情報、さらに、9月に中国の臨済寺にて執り行なわれる日中合同法要訪中団では管長猊下が団長として趣かれる事など、臨済禅師の遠諱に関する今後の予定が報告されました。
在家の参加者(今回は事務局の在家の者がお邪魔しました)としましては、禅宗寺院特有の引き締まった空間にひとときでも身を置き、外の空気や自然の移ろいを感じながら老師の提唱を拝聴し、禅僧の皆さんとご一緒させていただく機会を得て、臨済禅師の厳しくも慈悲深い教えが、我が身に流れ込んでくるような心地が致しました。
少しでも”感じる”事ができたというこの経験が、ともすれば人生で窮地にたたされた時、老師の御教えを思い出し、根底で自身を支えてくれるのではないかと思います。
今後も遠諱を記念して、様々なイベントが開催されます。これを機縁として、少しでも多くの皆様と御縁を結び、その御縁を末永く結ばせていただき、禅の教えを広められるよう、臨済宗黄檗宗各派、禅文化研究所、遠諱事務局は邁進して参りますので、どうぞよろしくお願い申し上げます。