臨済禅師1150年・白隠禅師250年遠諱事業の特別展「禅 – 心をかたちに – 」が京都国立博物館で開催されました。
これは、教外別伝、不立文字を唱える禅宗が伝承してきた法の趣を、「かたち」として遺された名宝を通してより多くの方々に知っていただくもので、臨済宗黄檗宗15派の全面協力のもと、国宝24件、重要文化財134件を含む、約300件の名品を選りすぐり、まずは、京都国立博物館・平成知新館において、2016年4月12日(火)から5月22日(日)までを会期として行われました。
この京都展は禅宗美術に関する過去最大規模の展覧会として、盛況のうちに無事終了し、8万8千人を超える方々にご来場いただきました。禅の専門家はもちろ ん、外国人の姿も多く、これまで禅の教えに触れる機会のなかった方々まで、幅広く楽しみ・学んでいただいたように見受けられました。
多彩な名宝を通じて禅の真髄に触れていただくとともに、祖師たちの足跡や禅の教えが日本文化に果たしてきた役割をご紹介するために設定された展示ストーリー(章立て)と内容については、以下の通りです。
第1章「禅宗の成立」: 達磨から臨済禅師に至る中国において禅宗が成立するまでの流れ
第2章「臨済禅の導入と展開」: 日本臨済宗各派と黄檗宗の開祖ゆかりの作品を中心として日本への臨済禅の導入と展開
第3章「戦国武将と近世の高僧」: 禅宗の外護者であった戦国武将と禅僧の肖像画と近世の禅僧を通じて禅宗の広まり
第4章「禅の仏たち」: 仏像・仏画や経典などを通して禅宗寺院における信仰のすがた
第5章「禅文化のひろがり」: 展覧会の締めくくりとして、書画や工芸品を通じて禅宗が日本の文化にもたらした影響
会期中のイベント・関連プログラムでは、大本山相国寺と大本山萬福寺による「声明-禅の祈り -」と大本山建仁寺による「四頭茶会-禅院の茶礼-」を催し、諸寺のご協力を賜りましたが、いずれも好評を博していました。
また、「禅の心を身体で体験!」とのことで、会期中、継続してロビー講話や坐禅指導(イス坐禅)等のイベントもおこなっていましたが、対象である観覧者が、ある程度、禅に興味を持っている方々であったためか、反応もすこぶる良かったように見受けられました。
感想としては、前述の通り、今回の京都展では、特に外国人の観覧が目立ちました。このことは、諸外国の方々における禅への興味というものが、一部の専門家のみではなく、一般的になって来ていることがうかがえ、これらの存在によって、禅への理解のすそ野が、確実に広がりつつあることを実感しています。
なお、東京展は以下の会期で行なわれます
2016年10月18日(火)~11月27日(日) 東京国立博物館・平成館