笑う門には福来る「笑顔の力」
(出典:書き下ろし)
爽やかな「笑顔」で競技に臨み、見事金メダルの栄誉に輝いた「北口榛花さん」。
彼女は、令和5年8月に中央ヨーロッパ・ハンガリーで開催された「世界陸上選手権大会」の女子やり投げで見事優勝されました。女子の優勝は26年ぶり三人目となり、トラック・フィールド種目での優勝は日本女子初の快挙でもあります。
彼女は、チェコのデイビッド・セケラック氏の指導方法に興味を持ち、自らメール等で交渉を重ね指導を受けることになりました。単身チェコに渡り、やり投げの技術を磨き・努力を重ねてきました。又、コーチとより良い意思疎通を図るために、チェコ語をマスターし今では流暢に喋ることができます。
「努力は必ず報われる」と言われます。一所懸命に「がんばる」こと「努力する」ことで得られる成果も沢山あります。しかし、それだけでは、人より抜きんでた望みの結果を手にすることができないことを我々は知っています。
そこには、がんばりと努力以外の「プラス」の要素が必要なのでしょう。それは何なのか、運もその一つであり、コネがあるなど特権に恵まれていることもその一つでしょう。そして、周囲の人の認識を自分の味方にし、だれから見ても魅力的な人物になる力「エッジ」もその一つだと言われます。
「エッジ」とは、相手を豊かにして(Enrich)、楽しませる(Delight)、誘導し(Guide)、みずから努力を続ける(Effort)ことであります。
(『ハーバードの 人の心をつかむ力』 ローラ・ファン著 栗木さつき訳より)
では、北口榛花さんの「エッジ」とは何だろうか、それは、彼女の一番の魅力である「笑顔」だと思います。笑顔の原点は、母親から「笑顔でいれば幸せなこと、いいことを、笑顔は引きつけてくれるよ」という助言を大切にし、守っているからです。「笑顔」で競技に臨み、「笑顔」で話しかけ、「笑顔」で喜び、「笑顔」で泣く」。この笑顔が大きなプラスの要因「エッジ」となって、より良い結果を生み出してくれたのではないでしょうか。
よく目にする言葉に「和顔愛語」があります。この言葉は『無量寿経』に出てくる言葉で、「和顔愛語」には「先意承問」という言葉が続きます。「表情はやわらかく、言葉はやさしく、相手のこころを汲み取ってよく受け入れ」と訳されています。
「和顔」は「笑顔」であり、「笑顔」は「愛語」を生みだし、人を思いやる「こころ」を育み、人々を幸せにしてくれます。
それは、難しいことでもなく、いつでも誰にでもできることです。「笑顔の力」を信じ、魅力あふれる人間になりたいですネ。