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人生の航海

(出典:書き下ろし)

rengo1406.jpg 人生を船の航海にたとえてみましょう。生まれたその日が港を出港する日です。
 日本人の平均寿命は80歳ぐらいですから、多くのみなさんは80年の長きにわたる航海となります。中には100年以上航海がつづく船もあれば、嵐や不慮の事故で思いがけず短い航海となる船もあることでしょう。
 航海の期間が長い、短いというのは他と比較しての話であって、自分で自分の航海日数を決めることは誰にもできません。
 航海の日数を自分で決めることはできませんが、どのように航海していくのかはある程度自分で決めることができます。自分の船を装飾して豪華客船やクルーザーとして航海する船もあれば、ヨットで風の向くままに航海する船もあるでしょう。貨物船やタンカーとなって一所懸命働く船も、魚を狙って追いかける漁船もあります。
 禅の言葉に「万法一に帰す(ばんぽういつにきす)」という言葉があります。「この世界に森羅万象様々に違いを見せる天地万物全て、その根本は一つである」という意味です。「この人生の航海は人それぞれ違いがあるけれども、その根本にある一番大切なことは皆なに共通している」というのです。
 どんなに大きくて立派に見える船も、広大な海の上では木の葉のように小さな存在です。自分の船が小さくて弱いことに気づけば気づくほど、船を支えてくれる様々なご縁に感謝せずにはいられません。どの船もちっぽけな存在であるからこそ、お互いに困った時は助け合って航海を続けていくのです。
 このような広く大きな心、仏さまのような心を「仏心(ぶっしん)」といいます。この仏心こそが人生の航海で一番大切なものなのです。

 普段、私たちは外に向かって幸せや楽しみを求めがちですが、仏心は最初(出港する前)から私たちに備わっています。月が雲で隠されるように、自己中心的な考えに埋もれやすいものですが、仏心は決してなくなることはありません。
 皆様の航海がこれからも有意義なものとなりますよう心よりお祈り申し上げます。

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