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すべてを活かす

(出典:書き下ろし)

rengo1301.jpg 数年前あたりから、給食費を支払わないという親御さんがいらっしゃるというニュースを耳にするようになりました。それとともに、給食費を払っている親御さんからは、「給食を食べ始める時に”いただきます”と言わせないでください。言わせるのなら給食費を払っている親に向かって言わせるのが筋でしょう」という話もありました。
 私たち人間はもちろん、あらゆる生物は他の生物の命をいただいて、自らの体に取り込まないと生命を維持することができません。つまり、「いただきます」という言葉は、「命をいただきます」という意味です。テレビ・新聞等でさえもこうして報道されていました。
 私たちは道徳の授業で、「人様に迷惑をかけないように」と教えられ続けてきましたが、わかってはいても、我々人間は完璧な存在ではありませんし、迷惑どころか他の命を頂いてしまわないと生き続けていくことができないのが事実なのです。
 ではもう一歩踏み込んで、我々はどのように生きるべきなのでしょうか?
 それは私たちが生きるためにせっかくいただいたその命を”活かす”ことではないでしょうか。それは、単に”食べた分だけ働いてお給料を持ってかえってくる”ことではありません。世の中には、様々な事情で働くこともできない方もいらっしゃいます。
 ”活かす”とは”なるべく和やかな気持ちで日々を過ごす”ことではないかと考えてはいかがでしょう。一日の終わりに自己採点してみるといいのかもしれません。ただ、先ほど申し上げたように我々人間は完璧ではありません。ニコニコ和やかに腹をたてずに、毎日100点をとることは大変難しいと思います。
 そこで、足りなかった点数、ニコニコできなかった場合の採点を、ご先祖様にお任せしてみてはどうでしょう。ちょっと失礼な言い方かもしれませんが、ご先祖様さえも我々の体(心)に”命”としていただいて”活かす”と考えるのです。

 ご先祖様から脈々と受け継がれたこの我が身です。そうすれば、大切なご先祖様が益々身近に感じられることと思います。

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