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法演の四戒

(出典:書き下ろし)

myoshin1301a.jpg 新年明けましておめでとうございます。
 皆様方には心新たにされ、この一年がより良き年になるように願って、本年の心構えなどを考えられることと思います。そういう一年の出発に当たり、中国の宋の時代の高僧、法演(ほうえん)和尚様の四つの戒めの言葉、”法演の四戒”をお届致します。
 この四つの戒は、法演(ほうえん)和尚様が、その弟子の仏果(ぶっか)和尚様が、太平寺というお寺の住職になられる時に仏果和尚に示された言葉です。弟子の新たな出発に当たり、師匠として示された教えです。ご紹介致します。

“法演の四戒”
一、「勢い、使い尽くす可からず。勢い、もし使い尽くさば、禍い必ず至る」。

 勢いとは、相手を支配する力、権勢、時勢ということです。自分の勢いをすべて自分で得た力だと思って、傲慢になり行動すると、かえって周囲の反発を招き、禍を招くことになる。今の自分の勢いは、多くの人の支えのおかげと受け取る謙虚さを持つべし、ということでしょう。

ニ、「福、受け尽くす可からず。福、もし受け尽くさば、縁、必ず孤なり」。

 福とは神仏の助け、幸福、ということです。現在の幸福も、目に見えない大いなる神仏のご加護、良きご縁のたまものと感謝し、自分一人で受け尽くすのではなく、すこしでも人様にお分けする心を持つべし。そうでなかったら結局孤立してしまう、ということでしょう。

三、「規矩、行ない尽くす可からず。もし規矩、行ない尽くさば、人必ずこれを繁とす」。

 規矩とは規則、きまりのことです。規則もあまりに厳格に決めて、厳格に実行すると人は規則に縛られ息苦しくなり、ストレスを感じる。また、規則さえ守っていればよい、という消極的な考えになってしまう。やはり、人を信じて、多少の自由、余裕が必要ということでしょう。

四、「好語、説き尽くす可からず。もし説き尽くせば、人必ずこれを易んず」。

 好語とは、良い言葉、良き教えといったことでしょう。良い言葉、教えもあまりに微に入り細に入り詳細に説くと、聴く人も簡単にわかったような気持ちになり、その言葉、教えの深い意味、重みが感じられなくなる。
 あるいは、説く人の実践が伴わないで、言葉だけを説いても、人はあまり感服しないということでしょう。
 以上の四つの戒めです。それぞれに含蓄のある言葉ですのでよく味わって頂き、新年の出発の心構えとして、ご参考にして戴ければ有り難いです。

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