清らかな光
(出典:書き下ろし)
この二月は、暦(こよみ)のうえでは立春を迎えますが、信州はまだ寒く、冬の季節です。そんな晴れたある一日、天竜川を流れる川面に光がさして、きらきら輝いて見えました。その輝きを見て、心の中から言葉があふれでてきました。
光の舞
冬の光は
なぜこんなに澄んでいるのだろう
流れる川面に反射する
光の姿は清らかで
きらきら輝くそのさまは
天使のほほえみのようだ
白雪に舞う光たちも
喜びに満ちて
天の国の詩(うた)を歌っている
光の舞が
天の清らかな世界を
この世に連れてきたのだ
あの光のように
清らかな思いが
私の心にも広がってゆけ
冬の光はとても澄んでいてきれいです。寒さがあたりを慎み深くさせているのでしょう。そして、その光が、流れる水にさまざまに反射している姿は、この世のものとは思えないほど美しく見えます。その反射する輝きが、私には天使のほほえみのように見えるのです。
そういえば、朝降り積もったばかりの雪の上に朝日がさしているようすは、光の妖精が喜びの詩を歌っているように感じられます。このような世界を感じられるのは、自分の心にもそのような清らかな世界があるからだと確信します。それを昔の人は「清浄心」という難しい言葉で言い表してきました。この清らかな心が、私たちのほんとうの自分であり、それゆえにこの清らかさが分かるというのが真理です。
さらに、その清らかさの奥にきらきら輝きを放っているものが、希望であり、勤勉であり、努力、報恩、平静心、柔和、責任感、祝福、智恵、向上、愛、慈悲、反省、謙虚、感謝、信心、優しさ、ほほえみなどであるといえます。
心をいつも清らかにしていると、こんな思いがどこまでも広がっていって、自分自身も、家庭も、社会も、きらきら輝いた天のみ国のような世界になっていきます。そうあれと仏は、この光の世界をこの世に示したのだと思われます。
清らかな心が、私の心にも、みんなの心にも広がっていくようにという祈りが、ある冬の一日、輝ける光の中に舞っていきました。