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依存しない心

(出典:書き下ろし)

 かつて現実を切り取って小さな紙面に凝縮するだけだと思っていた写真は、光や絞りシャッタースピード角度等諸条件とカメラマンの感性により、芸術へと進化しました。写実であった絵画が題材以上の輝きを放つ処まで高められた行程に一致するからでしょう。
 人の一生において、その方向、角度、距離を変える智慧が仏法という宗教であり、仏法ではそれを「転依(てんね)」と呼んでいます。
 人は親に頼り、配偶者に頼り、子に頼る。お金に頼り、物に頼り、地位権力名誉衣装に頼る。そんなものは簡単に無くなってしまうぞ。もっと確かでしっかりしたものに頼ればいいじゃないか。それは自分自身であり、真理なのだと。転依とは依り処を転ずる(変える)ことであり、自分や真理を依り処にすることを、
()(とう)(みょう)(ほう)灯明(とうみょう)といいます。
 人は多くの困難や不満を抱えています。同時に、その困難が除かれたら幸福になれると誤解しています。第一の困難が除かれても第二の困難を格上げし、人の不満が無くなることはありません。
 釈尊の智慧「仏法」は、今ある困難をそのままに、幸福になっていく教えです。
仏法は教える。悲しみや苦しみは慈しみや優しさを学ぶ機会であり、不満や不幸は工夫や智慧を発揮する活性剤なのだと。
 仏法には、内在する可能性や他人様や社会からの恩恵に気づく為の教えや修行が多様に準備されています。それが宗教の素晴らしさであり、仏法の完成度の高さなのです。
秋の色 世の中には苦しみ悲しみ不幸不満に失意の日々を送る人が溢れています。内に向
かえば自殺、外に向かえば犯罪に至ることがあります。
 どうか迷える人々苦しむ人々が、仏法を学び実践する仏弟子修行者とであい、不都合を除かないまま幸福を実感して頂きたいと切に望むものであります。

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