ダルマさん
(出典:書き下ろし)
先般選挙がありましたが、選挙に必ずといって登場するのが“ダルマさん”。10月5日はそのダルマさんの命日です。スポーツ、学業、商売等々あらゆる所で大切にされ、人気抜群。置物だけでなく、雪ダルマ、ダルマさんが転んだ、にらめっこなど子供達の遊びの中にも登場して、日本国中で親しまれているこのスーパースターは、いったいどこの誰なのでしようか。
今から約1600年前、南インドの香至国の王様は、信仰心が厚く、高僧を招いては教えを受けておりました。ある日、王は高僧に御礼として大きな宝石を差し上げた所、僧は王様の3人の王子に対して「この宝石に勝る宝があるでしようか」と質問されました。第1、第2の王子は「この宝石に勝る宝はありません」と答えましたが、第3の王子は「この宝石の光は他を照らすことが出来ても、自らを照らすことは出来ません、他を照らし自らを照らし、一切の迷暗を照破する宝石、それは人間誰しもが持っている智慧、智慧こそが最もすばらしい宝石です」と答え、これを聞いた僧は大きく肯きました。この第3王子こそが、後の達磨大師(ダルマさん)です。
父の王が亡くなってから出家をして師の下で40年余り修行され、禅の教えを伝える為、現在の中国広州に達したのは西暦
527年とも言われております。嵩山少林寺に住し、壁に向
かって9年の間石の上で坐禅をして、禅の教えが伝わる機会を待ち続けました。この時の様子が、手足の無いダルマとなり、七転八起、9年間坐り続けた不撓不屈の精神が、今日一般に知られているダルマさんのイメージを形成したのではないでしようか。
苦しい事や悲しい事、暗い世相であっても大丈夫。生まれ乍らに頂いている宝石。智慧の燈が内も外も照らし続けていることに気が付き、「この生命の働きを大切に、善い方向に使わせて頂きます」という想いを持ち続けることが、ダルマさんの教えに叶い、お心にも添うことになりましよう。
辷っても 転んでも 起き上がる達磨かな
カット 左野典子