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『般若心経』について

(出典:書き下ろし)

仏教の経典はたくさんありまして、木版刷りの経本だと2トン車いっぱいになります。
『大般若経』は600巻あります。それを要約したのが『般若心経』です。
作者が誰かはわかりません。2千年ほど前のインドのお坊さんです。
般若という言葉は、わかりにくいように思われるでしょう。パーリー語の「パンニャー」にそのまま漢字の音を当てて般若です。
玄奘三蔵が『般若心経』を翻訳するときに、原文の意味が深淵である場合やその語意が多義にわたる場合、また中国語にその概念がない場合には音をそのまま漢字に置きかえました。

あえて般若を訳せば智慧です。
智慧は知識と混同されます。
「子供の智慧つきが早い」の智慧は、本来は知識というべきです。
学習を積み重ねるのは知識です。
己の我心を削って本来の自己を見い出すのが仏教で呼ぶ智慧です。
しかも体験して歩みつづけるのが智慧ですので、文字の理解にとどまるべきではありません。
お仏壇に向って手を合わせて『般若心経』をお唱え下さい。
できれば家族の皆さんでお唱え下さい。
子供たちは親の手を合わせる後姿を見ています。
この思い出が子供にとって宝と思える日が来ます。
きっと親から受け継がれた宝になります。
人生には「困った」という時があります。
どうすればいいのかわからないことがあります。
そんな時には長い線香1本が燃え尽きるまでお仏壇の前に座って『般若心経』を静かにお唱え下さい。
きっと良い答えが出て来るに違いありません。
人は「一度座って、改めて出直す」という勇気が必要です。
「一度座って、改めて出直す」という行動を般若と呼びます。
般若は、この平成の時代を生きる力となるでしょう。

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