「墓相」って知ってますか?
(出典:書き下ろし)
ある方から「お墓を建てたいと思っていますが『墓相』というのがあると聞きました。どの様にすれば良い墓相のお墓が建てられるのでしょうか。」と質問を受けました。そこで私は早速本屋に行って調べてみました。すると以外に情報が多いのに驚きました。本屋では専門書はないにしても、結構墓相のについて記載されている本が見つかりました。インターネットでも色々な情報が検索できました。内容としては人相、手相、家相などと同じように、お墓にも「墓相」というものがあり、書いてあるようなよい墓相の墓を建てると、子々孫々その家は栄えよい事が続き……、と全てがうまくいきそうに書いてあります。
ここで私はハッとある事を思い出しました。それは先代の住職があるお墓の前で、
「このお墓は実によい顔をしてござる。信仰のカは素晴らしいものだ!」
と、一人言を言っていたのを思い出したのです。そのお墓は決して大きな豪華な石で建てられた立派お墓ではなく、敷地が広いというわけでもありません。ごくごく一般的な普通のお墓です。でも御家族がいれかわりたちかわりお花を供え水を取替えお参りし、いつも線香の香りの絶えないお墓でした。そのお墓は思わず誰もがお参りしたくなる様な、とても良い「お顔」をしていました。
最高の場所に墓相の本の通りに墓を建てたとしても、誰もお参りせず放置すれば貧相な暗いお墓になってしまうことでしょう。「墓相」とは後で出来てくるものではないでしょうか。温かくて明るくてついお参りしたくなるような、いつもお花やお香が絶える事のないお墓、そのようなお墓が「墓相がよい!」と言えるのです。墓相の本を否定するわけではありませんが、あまりこだわらず参考程度でよいのではないでしょうか。私は質問をしてきた方にもそのようにお答えしました。