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いとおしい自分 それは愛

(出典:書き下ろし)

 まず自分を好きになって下さい。愛して下さい。自分を好きになれないような人間が、人を愛せるわけがありません。
 ある国の王様とお后がお釈迦様に尋ねました。
 「私達は最近この世の中で一番かわいい、一番大切なものは自分自身だという考えを持ち始めています。しかし、いつもの教えによりますと『他を愛するように!』と伺っていますので、自分をかわいいというのは間違いではありませんか?」
 お釈迦様は諄々としてお説きになられました。
 「他を愛する!それは奇麗事ではないんだ。まず他を愛する前に、自分が一番かわいい存在だという事を確認する必要があるんだ。そこに気づいていないと奇麗事になってしまう。
 あなた方が、自分が一番かわいいということがわかったら、他の人もみな自分がかわいいってことがよくわかってくる。そうすると他を傷つけるという事は出来なくなるだろう。他を害する事は出来なくなるだろう。」
 お釈迦様の「他を愛する」は、単に他の人の為に役立ってあげたいというボランティアではなく、
 「傷つけられない、害することができない。」
という奥深いものなのです。それをできる人が自分を大切にする人なのです。そして、そういう心遣いこそ私たちがこれから最も必要とし、最も大切にしていかねばならぬものであり、見せかけの自分ではなく、本当の自分を作り出す道なのです。

自分をいとおしく、他の人もいとおしく!

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