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一日を新たに ていねいに ―仏道無上誓願成―

(出典:『花園』6月号 おかげさま )

 昨年の10月に五十歳を迎えました。「人間五十年」の世であれば、私は一度人生を終えたことになります。

そこで去年の年頭に、この1年を新たな人生の一歩を踏み出す出発点にしたいと考えました。その時思いついたのが、残りの人生をかけて成し遂げる目標を定めることです。そして、その目標を三つに分け、短期・中期・長期の目標をそれぞれ設定することにしました。

 

 まず短期目標としたのが、地元で1月に開催されるハーフマラソンを2時間以内に完走することでした。約1年をかけて練習に励みましたが、走り始めの頃は筋肉痛と疲労の蓄積に苦しみ、段々と走ることに慣れてきた頃には、ギックリ腰やふくらはぎの肉離れを繰り返すようになりました。このままでは短期目標すら達成できないので、ランニングに関しての知識を学ぶことにしました。インターネットや本からの情報だけでなく、経験者から直接教えて頂いたりしてわかったことは、運動前後のストレッチだけでなく、こまめな水分補給や運動後のアイシング、そして、なにより疲れがたまっていたら休むことが、怪我の予防につながるということでした。他にも筋持久力を高めるトレーニングや心肺機能を鍛えるトレーニング、怪我をした時のクロストレーニング等、様々な方法があり、ただ単に走るだけと思っていたのは浅はかでした。こうした「怪我の功名」もあり、短期目標は今年の1月に達成することができました。

 

 次に中期目標としたのが、フルマラソンを4時間以内に完走することです。春のお彼岸が近いこともあり、限られた日程で選んだのが3月初旬にある高低差の激しいレースでした。目標達成のハードルは随分と上がってしまいますが、片道7キロの峠道を往復する練習を繰り返しています。(2月現在)
心臓が破裂しそうなくらい心拍数が上がり、正直「何でこんな辛いことをしているのだろう」と、ネガティブな感情が湧いてきます。しかし、頂上を越えて下りになると、そんな感情を忘れてしまい、爽やかな達成感に満たされます。しかし、前半をとばし過ぎると後半に脚がもたずに失速したり、疲労がたまっているのに休まずに走ったりすると怪我をしやすくなるなど、ペースや練習の頻度を考えて走らねばならず、マラソンは長い人生における苦楽が凝縮されているように思いました。この中期目標はまだ継続中です。

 

 そして、人生をかけた長期目標は、築150年になる本堂の再建です。これまでの目標とは全く違うものではありますが、檀家さんや地域の皆さんの心のよりどころとなるこのお寺と妙心寺派の教えである「おかげさまの心」とを次の世代へとつないでいくことを、私なりの誓願としています。

 今年度のテーマは「おかげさま 一日を新たに ていねいに ―仏道無上誓願成―」です。
今年の干支の「巳」は地を這う生き物で、天を舞う龍にはなれないかも知れませんが、蛇行(右往左往)しつつ、脱皮を繰り返して成長していきます。私たちも日々新鮮な心で一日一日を精一杯生きることで、人として成長していきたいものです。初志貫徹!私も目標達成を目指して頑張ります‼

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