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四人の夫人

(出典:「瑠璃燈」37号)

或る男性に四人のご夫人がいました。この男が四人のご夫人に尋ねました。「もし、私が死んだら、どうしますか。」と言う問いです。
第一夫人は、「あなたが亡くなったら、すぐにお別れです。」
第二夫人は、「あなたが亡くなったら、お別れはつらいですが、お別れをしなければなりません。」
第三夫人は、「あなたが亡くなったら、お墓まではついて参りますが、そこでお別れです。」
第四夫人は、「あなたが亡くなっても、いつまでも、どこまでも、ついてまいります。」

 

それぞれの特性にから答えます。そこで、この四人のご夫人を何に例えているのか考えてみたいと思います。

第一夫人は、「すぐにお別れです。」と言ったのは、この身体を例えています。お葬式が終わりますと、すぐに火葬に付します。すぐにお別れなのであります。

 

第二夫人は、「お別れはつらいけれども、どうしてもお別れをしなければなりません。」と言ったのは、名利を例えています。地位やお金・財産がその代表的なものです。社長であっても、新しい社長に替わっていかなければなりません。広い土地や立派な家を持っていても他の名義に変えなければなりません。お別れは否だけれども、お別れをしなければならないものであります。

 

第三夫人は、「お墓までついて参りますが、そこでお別れです。」と言ったのは、家族・親族・知人を例えています。これらの人は、お墓に埋葬するところまでは、立ち会ってくれますが、お墓の中までは、入ってはくれません。お墓のところでお別れということであります。

 

第四夫人は、「死んでも、どこまでも・いつまでも、ついて参ります。」と言うのは、「徳」を例えています。かたちこそ見えませんが、普段のよき行いが、今はもちろん、未来永劫に生き続けるのが「徳」であります。その徳も、今、命のある間にしっかり積んでおかなければなりません。よく、「あの人は徳の高い人」だとか、「あの人は徳のある人」だと言われるのは、徳を積んできた人のことを言うのであります。

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