陰徳
(出典:「瑠璃燈」37号)
陰徳とは、人に知られないように施す恩徳であります。人に知られないようにということで、思い出すことがあります。
それは、禅堂(僧堂)で修行していた時のことです。陰徳を積むために東司(トイレ)の掃除を人に知られないようにするのですが、自分が行ってみると、誰かが先にトイレの掃除はしてあります。今日こそは誰よりも先にと思って少し早く起きて行くがやはり掃除ができています。それでも掃除をして帰ります。
トイレの掃除は陰徳を積むのによい修行であります。トイレを綺麗に掃除ができている会社・家は気持ちのいいものであります。トイレを綺麗に掃除ができているところは、ご繁盛しておられます。トイレを見れば、その会社・家の様子がわかります。心しておきたいことであります。
トイレを掃除することは、一番汚いところや一番いやな仕事をすることで、自然に徳が養われて、幸せになれます。
有名人でトイレの掃除をしておられ、成功している人も少なくありません。
トイレには、烏枢沙摩明王が祀てあります。明王は、不浄を転じて清浄ならしめる徳を有します。したがって不浄な所に祭られます。仏教の守護神の一つであります。トイレ掃除をして、陰徳を積み幸せな人生を送ってください。
徳あるは讚むべし、徳なきは憐れむべし、であります。