雲衲報恩接心報告(6)
臨済禅師・白隠禅師の遠諱を記念し、去る3月3日~9日まで、全国の僧堂の雲水(修行僧)が約230人参集し、東福寺大禅堂(選仏場)において報恩接心を行ないました。
一日ごとの様子をご紹介して参ります。
(1) 3月3日 補佐員(役員)到着・会議
(2) 3月4日 僧堂先駆到着・接心衆評
(3) 3月5日 僧堂老大師・雲衲到着・安単・総茶礼
(4) 3月6日 接心開講
(5) 3月7日 接心・連鉢
(6) 3月8日 接心講了(下記をご覧下さい)
(7) 3月9日 分散・近隣僧堂のみ法要加担
3月8日
*3月8日のご報告は、記録班としてご協力いただいた写真家・平林克己氏の写真を使わせていただこうと思います。
連日同じですが、夜も明けぬまだ暗いうち、4時開静(かいじょう・起床)です。
朝課(朝のお勤め、読経)の為、雲水たちは法堂へ移動。
雲水達よりも早く、老師方がお見えになられています。臨済僧堂・阿部宗徹老師と円覚僧堂・横田南嶺老師。法堂内全体が引き締まります。
東福僧堂・原田融道老師を導師に、雲水約230人で読むお経が法堂内に響き渡ります。
前々日、前日と同じく、この日も5時半から始まる参禅の為、老師方が次々ご到着されます。さらに、飯台看(給仕役)の担当雲水たちは、粥座(朝食)の準備を進めています。
朝課後、梅湯茶礼(下写真)を行ない、再び止静(坐禅)。
5時半。報恩接心最後となる参禅が始まります。自身が参禅したい老師の看板の後ろに一列に並び、それぞれの喚鐘場(参禅する部屋)へと赴きます。
10ヶ所の喚鐘場が設けられています。詳細は下記のとおり。
○瑞玄僧堂・起雲軒 吉田道彦老師
○雲巌僧堂・臥月庵 原宗明老師
○龍澤僧堂・松華室 後藤榮山老師
○大乗僧堂・露香室 河野徹山老師
○梅林僧堂・悠江軒 東海大玄老師
○万寿僧堂・閒関窟 佐々木道一老師
○霊源僧堂・玄関窟 松本普成老師
○円通僧堂・臥龍窟 長谷川大道老師
○常栄僧堂・無隠窟 今井宏泉老師
○南宗僧堂・吹毛軒 田島碩應老師
参禅から戻るとまた坐禅の時間が続き、その後は粥座です。
老師には赤膳でお出ししますが、雲水と同じく粥と梅干し沢庵のみ。
斎座まで止静(坐禅)の時間です。老師方も数名ご一緒に坐られていました。
11時、斎座の時間です。雲水たちが禅堂から方丈へと移動です。
飯台看(給仕係)は、二番座といって、皆が食事を終えた後にいただきます。事務局の者や他の手伝いの和尚さん方はこれに続き、三番座、四番座などでいただいておりました。
その後13時からは、南禅寺派管長・香南軒 中村文峰老師による提唱です。
老師方もおでましになられます。
『臨済録』より、「一無位真人」を提唱なさいました。
提唱後、15時からは剃髪です。つねの各僧堂での剃髪も同じようですが、たらい1杯のお湯だけで石けんなど使わず、接心中に伸びた髪をお互いに剃り上げていきます。接心中は開浴(入浴)がなかったので、脂ぎった頭を剃るのは、少し大変そうでもありました。
上の写真の円覚僧堂のみ、腰に巻く手巾でたすき掛けをするようで、他僧堂の雲水にとっては見慣れない光景でした。
雲水達が剃髪の間に、9日10日に勤修される宿忌・半斎の習礼(予行演習)が、役位の和尚によって執り行なわれました。
剃髪後は17時より薬石(夕飯)。禅堂から方丈へ移動です。
薬石後は、18時~19時まで止静(坐禅)。19時抽解、アンケート記入に続き、茶礼。
20時半より接了諷経。21時開枕。
こうして接心最後の夜を迎えました。
つづく