禅語

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不是一番寒徹骨 争得梅花撲鼻香 『中峰広録』巻五上 これいちばんかんほねにてっせずんば いかでかばいかのはなをうってかんばしきをえん

『床の間の禅語 続』

(河野太通著・1998.04 禅文化研究所刊)より

03月を表す季節の画像

 春の花々が咲き出す前に、百花に先駆けて香りを放って咲き出す梅の花。人の心を打つ所以ゆえんです。
梅花の美しさと香りは、雪や霜の苦しみの時節に耐えて初めて得られたものである。寒い冬の季節がなければ、梅の花のあの芳しい香りはない。
そのように、人間も骨身にしみる苦労と試練を重ねて初めて、香り高い人格ができあがる。だから、苦労を厭わずに難関にぶち当たって行きなさいというのです。

 「是れ一番寒骨に徹せずんば、争でか梅花の鼻を撲って香しきを得ん」、寒い冬の苦しみを味わったればこそ、あの芳しい人の心を打つ花を咲かせているのだ。だから私たちも、一つ苦しい修行をいとわずに試練を重ねていかなければならない。こう叱咤激励されるわけです。
 「古人刻苦光明必ず盛大なり」、刻苦光明、苦しい修練の時節というものを経て、その苦しみを透過した人は、必ず後々に光を与えるような輝きを放ち、盛大な意義ある人生を創造しているのだ、という言葉を思い起こさせる言葉です。