禅語

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死中得活 しちゅうにかつをうる

『禅語に学ぶ 生き方。死に方。』

(西村惠信著・2010.07 禅文化研究所刊)より

11月を表す季節の画像

「進退を決する力を持つこと」

―死中に活を得る―(『碧巌録』九則)
絶体絶命のところで活路を開くこと。これの反対で「活中に死を得る」という語もある。このようなはたらきを「殺人刀、活人剣」と言い、一本の刀をそういうように使い分けできる禅僧のはたらきを、「殺活自在」という。われわれの世界にも両刃の剣ということがある。鋭い刃物は危険でもあるから、用い方に気をつけなければならない。

 活かすとか殺すとか恐ろしい話であるが、もとより実際の刀を振り回すことではない。殺といっても相手に傷ひとつつけないし、活といいながら相手を自分に気づかせるだけである。その時その場において、相手を殺したり活かしたりする、禅僧の自由自在のはたらきのことだ。
 ところでわれわれ凡人には、他人を殺したり活かしたりできるような刀はない。しかし、自分の方へ向ける刀なら、誰にも持つことができるであろう。時と処に従って、自分を抑え、また自分を前面に押し出すような力を、自分の中に持つことは大切である。
 この道を進むことはよくないと判断したら、直ちに自ら手を引く自制力。これは自分の我欲を切る刀である。逆にもう駄目だと思っても、なお自分を叱咤激励する自発力。これは自分の意志の薄弱さを切って、自分を前進させる刀である。
 他人に従うのではなく、自分の中に殺活自在の刀を持つのである。この二つの力を発揮させるためには、何といっても正確な状況判断が前提である。そういう判断を悟りの智慧というのだ。。